
モチベーション
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動画の文字起こし
昔々、山の日陰側の穴に一匹のカニが住んでいました。カニはとても働き者の家事上手で、念入りに掃除をしていたので、国じゅうのどの生き物の穴よりも、彼女の穴はきれいに片付いていました。カニはそれをとても誇りにしていました。
ある日、カニは穴の入り口の近くに、炊いたご飯がひと握り落ちているのを見つけました。きっと巡礼者が昼ごはんを食べるときにこぼしたのでしょう。カニは喜んで駆けつけ、そのご飯を穴へ持ち帰ろうとしていました。すると、近くの木に住んでいたサルが、何をしているのかと降りてきました。ご飯は大好物だったので、サルの目はきらりと光り、ずる賢いサルらしく、カニに取引を持ちかけました。ご飯の半分をくれたら、さっき食べたばかりの甘くて赤い柿の種と交換してやろう、というのです。サルは、こんな図々しい提案ならカニに笑い飛ばされるだろうと半ば思っていました。ところがカニは、首をかしげてしばらくサルを見つめたあと、交換に応じると言いました。こうしてサルはご飯を持って去り、カニは柿の種を持って穴に戻りました。
しばらくの間、カニはサルの姿を見ませんでした。サルは山の日なた側へ遊びに出かけていたのです。けれどもある朝、サルがカニの穴のそばを通りかかると、カニは立派な柿の木の陰に座っていました。
「こんにちは」とサルは丁寧に言いました。「とても立派な実がなっていますね! おなかがぺこぺこなんです。一つか二つ分けてもらえませんか?」
「ええ、もちろん」とカニは答えました。「でも、私は木登りができないので、自分で取ってあげられないのは許してくださいね。」
「どうかお気になさらず」とサルは答えました。「許しをいただけたなら、自分でらくらく取れますよ。」カニは木に登ることを承知しましたが、実の半分は投げて寄こすように、とだけ言いました。
するとサルは、あっという間に枝から枝へ飛び移り、いちばん熟した柿を片っ端から食べ、残りはポケットに詰め込みました。かわいそうなカニが憤慨したことに、投げてよこされたのは、まったく熟していないものか、すっかり腐ったものばかりでした。
「あなたはとんでもない悪党ね」とカニは怒って叫びましたが、サルは気にも留めず、できるだけ急いで食べ続けました。カニは、叱っても無駄だと悟り、知恵で勝負しようと決めました。
「サルさん」とカニは言いました。「あなたは本当に木登りが上手ですね。でも、そんなにたくさん食べたあとでは、きっとあなたの得意な宙返りはもうできないでしょう。」サルは一族の誰よりも宙返りが上手なのが自慢でしたから、すぐに座っていた枝の上でくるりくるりと三回転しました。すると、ポケットに入れていた立派な柿が、みんな地面にころころと転がり落ちました。カニは稲妻のような速さでそれを拾い、たくさん家へ運び込みましたが、もう一度取りに戻ったところで、サルが飛びかかり、死んだと思うほどカニをひどく痛めつけました。腕が痛くなるまで打ちのめすと、サルは去っていきました。
かわいそうなカニにとって幸運だったのは、助けに来てくれる友だちがいたことです。そうでなければ、あのまま死んでいたに違いありません。ハチが飛んできて、カニを寝床に連れ戻して看病しました。それから、ハチは臼と、近くの巣から落ちた卵に相談しました。サルは残りの柿を盗みに必ず戻ってくるから、そのときカニにしたひどい仕打ちのお返しにこらしめてやろう、と皆で決めました。そこで臼は玄関の梁の上に登り、卵は地面にじっと転がり、ハチは水桶を隅に置きました。そしてカニは、はさみの先も見えないように、地面に深い穴を掘って隠れました。
準備がすっかり整うとまもなく、サルが木から飛び降りて、戸口にこっそり近づき、これまでの行いを詫びる、長くて白々しい演説を始めました。何かしらの返事を待ちましたが、返ってきません。耳を澄ましましたが、しんと静まり返っています。のぞいてみても誰もいません。そこで中に入りました。カニを探して辺りを見回しましたが、見つかりません。そのとき卵が目に入り、それをつかんで火にかけました。ところが、卵は一瞬で粉々に弾け、鋭い殻が顔に突き刺さってひどく傷を負わせました。痛みにもだえながら桶に駆け寄り、頭に水をかけようとかがみ込みました。手を伸ばしたとたん、ハチが飛び出して鼻を刺しました。サルは悲鳴を上げて戸口へ走りましたが、そこを通り抜けるとき、臼が落ちてきてサルを打ち倒しました。その後、カニは何年も幸せに暮らし、最後は自分の柿の木の下で安らかに息を引き取りました。





